水道代滞納

 

私たちの生活に欠かせないものとして、「衣食住」という言葉があります。

確かに「服がない」、「食べる物がない」、「住む所がない」というのは、健康な暮らしを送る上で大きな障害となるのは間違いありませんが、衣食住が揃っているからといって必ずしも安全な生活が保障される訳ではありません。

例えば、住む家があっても「電気を止められた」、「ガスを止められた」なんて状況になれば、時には生命の危機に瀕することもあるでしょうから、こうした生活設備の問題も決して見逃すことは出来ないのです。

そして特に「水道を止められてしまった場合」には、入浴や洗濯はもちろん、トイレも流せない上に、水も飲めなくなりますからから、これは正に「非常事態」となるでしょう。

そこで本日は「水道代滞納トラブルの体験記をお届け!」と題して、部屋を借りながらも水道無しで暮らし続ける困った入居者のトラブル体験記をお送りしたいと思います。

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水道トラブル発生の経緯

今回のトラブルの舞台となるのは、築18年、鉄筋コンクリート造4階建の賃貸マンションとなります。

現在では売買担当の営業マンとして仕事をしている管理人ですが、その当時は賃貸部門の営業として、アパートや賃貸マンションの物件管理や客付けに汗を流しておりました。

そんな私が管理を担当するこの物件の一室に空室が発生。

退去手続きも無事に済みましたので、早速大家さんと募集条件を打ち合わせして、新規募集を開始します。

しかし季節は丁度、春から秋に向かうゴールデンウィーク明けの頃で、賃貸の繁忙期完全に終了しており、お客さんからの問い合わせもなかなか頂けない状況が続いていました。

そして、「これは苦戦するかも・・・」なんて考え始めた頃、ようやく一本のお申し込みが舞い込みます。

こらのお話は、同じ地域で営業している顔見知りの業者さんの客付であり、お客さんのスペックは建築関係の会社に勤める30代の男性。

収入から考えると少々高めの家賃でしたので、オーナー様にもその旨を伝えますが、「賃貸保証会社が通れば契約して欲しい」とのご返答を頂きます。

その後、保証委会社の審査も無事に通過し、契約・引渡しへと手続きは進んで行きました。

なお入居後、数か月は何事もなく時が過ぎて行きますが、ある日の定期物件巡回(今回の物件は入金管理も任されていたので)の際、何やら作業をしている水道局の方に出くわします。

「何かあったのですか?」と作業員に声を掛けてみると、先日入居した例の入居者が水道代を滞納しているため、水道を止めに来たと言うのです。

これは大変だと、慌てて会社の事務の人間に賃料の入金状況を確認してもらうと、どうやら賃料はしっかりと収められている様子。

『たまたま支払いを忘れたのか・・・』と考え、しばらく様子を見ることにしましたが、その後何度確かめても水道メーターには「停水中」の札が付けられたままになっています。

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水を止められた入居者

既に季節は真夏となっていましたので、とりあえずはオーナー様に状況報告の連絡を入れます。

そして、これまでの経緯をご説明致しましたが、賃料を滞納していない以上、オーナーさんから「水道代を払え」なんてことも言えないのが現実です。

とりあえずは「入居者に事情を聞いてみよう」ということになり、早速電話を入れてみます。

連絡したのが平日の日中でしたので、「仕事で電話に出られないかな・・・」とも思ったのですが、あっさり電話に出てくれました。

そこで水道料金未納の件について問い詰めてみたのですが、入居者からは驚愕の返答が返って来ます。

実はこの入居者、入居後程なくして勤めていた建築会社を解雇されてしまったとのこと。

現在は再就職先を探しているのですが、どうにも生活が苦しく、水道代は敢えて支払っていないというのです。

季節は真夏ですし連日猛暑が続いていますから、「大丈夫なのか?」と尋ねてみますが、「もう少しの辛抱なんで」とまだまだこの生活を続けて行くおつもりのご様子。

賃料を滞納していない以上、更なるツッコミも出来ませんので、その場は引き下がりますが、以来どうにも気になってしまい、時間を見付けては物件に様子を見に行くようにしていました。

なお巡回の中で気付いたのは、「停水中」と札を貼られていても、あくまで元栓のバルブを閉じただけの状態ですから、建築の知識のある入居者は時折自分でバルブを開けて、水を使用している模様。

「水道局も意外と優しいな・・・」と思っていたのですが、ある日巡回に行くと、水道メーターが完全に取り外され、もはや何をしても水を利用することが出来ない状態となっていました。

慌てて入居者に連絡を入れますが、応答はなし。

やがて携帯電話まで「お客様の都合により、ご利用頂けません」という滞納時のアナウンスが流れ始めます。

「まさか室内で大変なことになっているのでは」という嫌な想像が頭をよぎったので、その後何度か直接訪問を繰り返しますが、その度に置いて来る手紙は受け取っている様子ですし、賃料だけは毎月キッチリと収められていました。

そしてある日の訪問時、物件のエントランスでばったり入居者に遭遇したのですが、彼は巨大な水タンクを部屋に運び込んでいる真っ最中。

どうやら、近所の公園で水を汲み、その水で生活を行っている様子です。

「本当に大丈夫?」と改めて問い但しますが、どうやら再就職先も決まり、月末には普段の生活に戻れるとのことでした。

やがて翌月を迎えると、確かに水道メーターも元に戻されて、携帯も復活。

新たな就職先についても、自ら「転職しました」との申告してくれましたので、結局問題もなくトラブルは解決へと向かうのでした。

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水道トラブルまとめ

さてここまでが、私が体験した水道代滞納トラブルの顛末記となります。

水道を止められ、携帯電話を止められても、家賃だけは決して滞納しない入居者のスピリットには感心させられるものがありますが、物件を管理する側としては「生きた心地がしなかった」のも事実。

但し、賃料を滞納していない以上、こちらから何かアクションを起こすことも出来ませんから、これは実に歯がゆい事態でした。

この事件を経験して以来、仲間の不動産業者さんにも「水道滞納者に遭遇したはないか?」と聞いて回っていたのですが、やはり皆さん何度かは経験をされているご様子。(私の様に賃料を滞納しないケースはレアなようですが)

彼らの話によれば、水道局も軽度な滞納で完全に水の供給を断つのはマズイと考えている様子で、警告の意味でバルブを締めるだけの「停水処置」を行っているようです。

そしてこれでも改善しない場合は、最後の手段として水道メーターを撤去するとのこと。

因みに賃貸管理に慣れた業者さんでも、メーター撤去の段階になると流石にドキドキさせられる様です。

確かに今では、スーパーなどでも無料で水が汲めますが、出来れば水道代だけはキッチリと支払って頂きたいものですよね。

ではこれにて、「水道代滞納トラブルの体験記をお届け!」の顛末記を締め括らせて頂きたいと思います。