収益物件売買時の賃貸契約トラブル

 

現在、不動産市場で活発に取引が行われているのが、不動産投資を目的とした収益物件の売買です。

中国経済の失速に、アメリカのトランプ大統領の就任と、経済市場は先行きが見えない時代に突入していますから、景気動向に左右され辛い不動産投資に人気が集まるのも当然と言えば当然かもしれません。

こうした動きを受け、収益物件の市場は拡大され、これを扱う不動産業者のスキルも向上して来ていますから、資金さえあれば誰でも気軽に投資物件が購入出来る時代に成りつつあります。

しかし、やはり不動産売買にはトラブルも付き物ですから、くれぐれも物件購入時には気を引き締めて取引に臨んで頂きたいところです。

そこで本日は、私が実際に体験した収益物件取引の厄介事を「収益物件売買時の賃貸契約トラブル体験記をお届け!」と題して、ご紹介してみたいと思います。

私の経験が皆様の投資のお役に立てれば幸いです。

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収益物件の売買

今回のお話の舞台となるのは、駅から徒歩8分、築年数15年の木造アパートの売買となります。

現在では売買専門の営業マンとして仕事をしている私ですが、以前は賃貸管理なども担当していた関係で、地元の地主さんとは未だに繋がりを持っているのですが、そんな方々のお一人からこのアパートの売却を依頼されました。

なお物件は立地も良く、満室となっていましたから、価格も「それなりのお値段」となると予想していましたが、地主さんは急遽資金が必要とのことで、価格はグッとお値引して表面利回りは8%という値付けで募集を開始します。

この時の私は、既に収益物件の売買経験もそれなりに積んでいましたので、「意外に簡単な取引になるな・・・」などと気軽に考えながら、レインズに物件登録を行って、お客を待つことにしました。

そして待つこと2週間、知り合いの不動産屋さんにお客さんを付けて頂き、見事に成約することに成功。

契約、決済は順調に進み、引渡し後の管理も私の会社に任せて頂けることとなりました。

そこで入居者に向け、「アパートのオーナーが変更となり、賃料の振込口座も変更となる」旨を通知。

そして最もトラブルの多い、貸主変更後の第一回目の賃料振込も問題なく終わり、その後一年以上の時間が経過します。

なお唯一気になることと言えば、入居者の一人の賃料が遅れがちなことであり、オーナーチェンジから2年目に差し掛かる頃には、2ヶ月の賃料を溜め込んだ「滞納者」となってしまいました。

因みにこのお部屋に関しては、賃貸保証会社は利用しておらず、本人がどんなに督促しても払えない以上、連帯保証人に連絡する他はありません。

そこで止む無く連帯保証人に電話を入れて、事の次第を伝えます。

そして話しを聞き終えた連帯保証人(以下 H氏)からは、「近日中に私の会社に伺う」とお返事が頂けましたから、『先方から出向いてくれるなんて、なんて誠意のある保証人なんだろう』と胸を撫で下ろす管理人でした。

そして10日後、40代半ばと見受けられる暗そうな雰囲気の男性(H氏)が私の店舗に現れます。

「滞納賃料を支払いに来てくれたのだ」と思い込んでいる私は、笑顔で彼を迎え入れますが、H氏の口からは意外な台詞が飛び出したのです。

「物件のオーナーが変更された以上、私に連帯保証人としての債務は存在しません」、これがH氏の主張でした。

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トラブル発生

このH氏、賃料を滞納している入居者の兄であり、現在は一般の企業で働いてものの、数年前まで司法試験合格を目指して猛勉強をしていたという経歴の持ち主。

そして、彼の主張によれば「賃貸借契約は指名債権であるため、債務者である自分に通知を行わずに債権が譲渡された以上、契約は無効である」と言うのです。

「指名債権て何?」、お恥ずかしながら法律知識に乏しい私的には、彼の主張に反論することも出来ず、とりあえずは返答を保留して、その場はお引き取りを願うことにしました。

慌ててネットなどを駆使して調べてみたところ、指名債権とは「支払う相手が限定された債権」を指す言葉であるとのこと。

確かに金銭消費貸借契約(お金を借りる契約)や賃貸借契約などは、この指名債権に分類されており、指名債権の譲渡には債権を譲渡する人(今回の場合はアパートを売った地主さん)からの通知、又は債務者(入居者や連帯保証人のH氏)の承諾が必要な模様。

入居者に対しては、賃料の支払先変更のお知らせにてオーナーが替った旨を伝えていましたが、確かに連帯保証人に対しては一切の通知をしていません。

しかし、これまでの収益物件の取引においても、入居者にはともかく、連帯保証人への通知など行ったことがありませんし、他の不動産業者さんからもそんな話は聞いたことがないのです。

これは困ったと、早速会社の顧問弁護士に相談してみることにします。

そして相談を持ち込んだ数日後、弁護士より回答の連絡が入って来ました。

「もし連帯保証人が無効となると、かなりヤバイな・・・」などと心配しながら、電話に出てみると、その答えは「問題なし」とのこと。

過去には、この問題を争点とした訴訟もあったようですが、「判決は保証人への通知は不要」とのことであったそうです。

但し、オーナーチェンジ後に著しく契約内容を変更している場合には無効となる可能性もあるとのですから、今後は注意が必要かもしれません。

そして、この弁護士の回答をH氏に伝えますが、何やら納得がいかない様子。

H氏のプライドの問題もありそうなので、顧問弁護士よりH氏に直接連絡を入れてもらったところ、大人しく滞納賃料の振込みをして頂けました。

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収益物件売買トラブルまとめ

さてここまでが、私が体験した収益物件の売買に関する保証人トラブルの顛末となります。

私も長年不動産屋さんをしておりますが、自分の法律に関する知識の乏しさを深く反省させられる事件でした。

「先輩から教えられた」、「仲間の業者がやっているから・・・」と根拠も考えずに契約ごとを進めるのは、やはりかなりのリスクを伴うものなのですね。

今後は、こうしたトラブルをスマートに解決出来る様に精進を重ねて行きたいと思います。

なお顧問弁護士の先生曰く「H氏の知識レベルを考えれば、司法試験を諦めたのは正解だったと思う」とのことですから、H氏には是非他の道で頑張って頂きたいものです。

ではこれにて、「収益物件売買時の賃貸契約トラブル体験記をお届け!」のトラブル顛末記を締め括らせて頂きたいと思います。