建物滅失登記をしていない

 

マイホームを購入する際、人は様々なことに注意を配るものです。

駅までの距離に、周辺の住環境、そして土地の広さや地形など、チェック項目は枚挙に暇がありません。

また、ここからは仲介に入る不動産屋さんの仕事の範疇となるかもしれませんが、都市計画や登記上の問題などを調べる行政調査に、建物の瑕疵や地中埋設物など関しての現地調査なども、決して手を抜くことは出来ないでしょう。

しかしながら、どんなに注意を払っても、時にはミスをしてしまうのが人間です。

そこで本日は、物件調査の際に非常に見落としがちな不動産登記絡みのトラブルを、「建物滅失登記をしていない土地の取引体験記!」と題してお話させて頂きたいと思います。

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トラブル発生の経緯

このトラブルの発端は、私が賃貸部門で仕事をしている時からお世話になっている地主さんより、土地の売却を任されたことによります。

現在は駐車場となっているこの土地は、数十年前まで借地として貸し出していたのですが、借地人がご高齢となったため、建物を地主さんが買い取ることになったとのこと。

但し、かなり老朽化の進んでいた物件でしたので、買取とは言ってもお金のやり取りだけを行い、建物は借地人の手配で取り壊されたといいます。

以来、この土地は月極め駐車場として運用されており、その管理を私の会社が請け負っていたのですが、今回はご家庭の事情で現金が必要となったとのことで、売却をお任せ頂けることとなったのです。

そこでまずは近隣との土地境界を確定するために測量を行い、元借地であることも踏まえ、地中埋設配管などの調査も念入りに行うことにしました。

なお結果的には、特に問題になりそうな事項も出て来ませんでしたので、本腰を入れて購入希望者を探すことになります。

通常であれば建売屋さんが喜んで買って行きそうな土地なのですが、地形や値段の問題で建売用地には適さず、今回の買い手はエンドユーザーがターゲットとなりそうです。(当時はそれ程、建売用地の買い取り価格も高騰していませんでした)

因みに土地のスペックは35坪程の整形地で、駅からもアクセスも良いため、少々高めの価格設定ですが、それ程苦戦を強いられる雰囲気もありません。

実際、レインズ(不動産業者同士の売却情報共有サイト)に登録すると、初っぱなから多くの反響を頂き、あっと言う間にお申込み(買付け)を頂くことが出来ました。

また、購入希望のお客さんを連れて来てくれたのは、これまでも何度か取引のある知り合いの業者さんだったこともあり、お話はスムーズに進んで無事に契約も完了。

後は買主の住宅ローンが承認されるのを待つばかりだったのですが、ここでトラブルが発生します。

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滅失登記未了問題解決編

その第一報は、買主側の仲介業者さんからもたらされました。

売買契約を終え、仲介業者さんが金融機関に住宅ローンの申し込みを行ったところ、対象の土地には別の建物の登記が残っているという指摘を銀行から受けたというのです。

一般的に不動産の登記と言えば、物件の名義を変更する所有権移転登記や、銀行からの借り入れの際に行われる抵当権の設定などが頭に浮かびますが、建物を新築した際には「表示登記」と呼ばれるものを行う義務があります。

建物の謄本などを見ると、所有者の名前や抵当権の内容以外にも、建物の構造や面積などが記載されている欄がありますが、その部分こそが「表示登記」と呼ばれる箇所です。

この欄は物件の概要を表すのが目的の登記となりますが、建物を解体した場合には、新築時に行われた登記を抹消するために「建物滅失登記」という手続きを行わければならず、これを怠れたれば「登記上、現実には存在しない建物が土地に残り続けてしまう」ことになります。

なお、「実際には存在しない建物が登記上存在し続ける」なんてお話を聞くと、とんでもないトラブルを想像してしまいますが、実はこの状態、それ程実害のあるものでありません。

例えこの状態の土地を購入しても、住んでいる分には何も問題がありませんし、地主さんが古くから所有する土地などには、しばしば発生する事態です。

ただ、唯一問題となるのが、この土地に対して銀行のローンを組む場合となります。

金融機関は、融資を実行する土地にこうした問題があるのを絶対に認めませんから、このままでは永久にこの土地を担保に借入が出来ないことになるのです。

そして今回の案件では既に売買契約が済んおり、引き渡し日が決まっていますから、期日までに建物滅失登記を完了しなければ引き渡しは不能となり、仲介業者である私が全ての責任を負わなければなりません。

慌てて買主側の業者と相談してみますが、建物新築のスケジュールにはまだ余裕があるとのことで、引き渡しを数週間伸ばすのは問題なしとの嬉しいお返事が頂けます。

おかげで「とりあえずは一安心」といったところですが、もしこれが買い替えなどのお客様で、引き渡しの延長が出来ない方ならとんでもない事態に陥るところでした。

そこでまずは、売主様・買主様に直接お会いして、必死でお詫びを申し上げます。

因みにこのミス、良くあることとはいえ、かなり初歩的で恥ずかしい部類に入りますから、情けないやら恥ずかしいやらで、心の痛手は相当なものでした。

そして重要なのは、如何に迅速に問題を解決するかということです。

今回は表示登記の問題なので、早速お付き合いのある土地家屋調査士に相談してみます。

実はこの建物滅失登記、本来は申請に建物を解体した業者の「取り壊し証明書」や「印鑑証明書」、そして建物所有者の「委任状」などが必要です。

しかし建物が取り壊されたのは十年以上前のことですから、解体した業者も、建物の元所有者の居所も一切分かりません。

「大丈夫なのか?」と心配していましたが、土地家屋調査士曰わく、明らかに該当の建物が無い場合には、法務局の登記官が職権で滅失を行えるとのこと。

ただ、あくまでも登記官の職権ですから、登記官の性格によっては「旧所有者と解体業者を探し出せ」なんて無理難題を課せられることもあるというのです。

そんなことになれば、延長して頂いたとはいえ期限内の引き渡しは絶望的になってしまいますから、土地家屋調査士からの結果連絡が入るまでの数日間は、正にドキドキの毎日を過ごすことになりました。

そして結果的には、職権での滅失が許可され、二週間程で登記が完了します。

契約書上の引き渡し期限期間は過ぎてしまいましたが、延長してもらった期限内にはどうにか引き渡しも完了することが出来ましたので、「何とかなった・・・」という安堵感と共に、「今後は絶対にミスをしまい」と堅く心に誓う管理人でした。

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建物滅失登記まとめ

さて、ここまでが私の建物滅失登記トラブルの顛末となります。

不動産屋さんとしては少々お恥ずかしいミスですが、想像以上に発生件数の多い事故となりますので、業者の方には私の二の轍を踏まないようご注意頂きたいところです。

また、個人間での不動産売買や、相続などでは不動産業者のチェックが入らないことの方が多いでしょうから、尚さら注意が必要です。

相続した土地にローンを組んで、アパートを建てようとした際に、滅失していない建物があったなんてことは充分あり得ます。

法務局などに出向き、土地の地番を指定して、「建物の登記がないか?」と尋ねれば直ぐに回答が貰えますから、気になる方は是非確認してみて下さい。

ではこれにて、「建物滅失登記をしていない土地の取引体験記!」を締め括らせて頂きたいと思います。