定期建物賃貸借契約の再契約

 

賃貸アパートの運用などをしていると、必ず遭遇することになるのが賃料を滞納する者や、近隣に迷惑を及ぼす厄介者たちです。

滞納に関しては賃貸保証会社への加入を必須とするなどの対抗策はあるものの、生活騒音の問題や、入居者間でのトラブルなどは、どんなに契約内容を厳しいものにして回避は難しいでしょう。

また、こうしたトラブルを放置すれば、質の良い入居者の方がお部屋を出てしまい、厄介者のみが居座り続けるというパターンも多いですから、場合によっては物件の運用自体にも大きな影響を及ぼし兼ねません。

ならば「少しでも質の良い入居者を集めたい」と思うのが大家さんのお気持ちでしょうが、入居審査の段階で申込み人の人柄までを見抜くのは至難の技となりますから、これは非常に難しい問題なのです。

しかしながら以前、そんな「良い入居者を集め」を独自の方法で行い、順調な物件運用を続けておられる物件オーナー様とお仕事をさせて頂いたことがありました。

そこで本日は、「定期建物賃貸借契約の再契約を利用した入居者募集体験記!」と題して、その仕事の模様と、入居者集めの手法をご紹介させて頂きたく思います。

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オーナーが提示した風変わりな契約条件

私が初めてその物件オーナーさんと出会ったのは、ある収益物件の仲介が切っ掛けでした。

このオーナーさん、前職は不動産会社にお勤めでしたが、その後独立し、現在は収益物件の買取・転売と、不動産賃貸業を生業としている方です。

「不動産屋さんが不動産屋さんに仲介を依頼することがあるの?」というお声も聞えて来そうですが、これは極々当たり前にあることで、私の会社で仕入れる建売用地や収益物件も、他の不動産業者の紹介(仲介)で買うことが殆どとなります。

今回のケースでは、私の会社が賃貸管理を任されている物件が売りに出され、買主を募集したところ、この不動産屋さんが手を上げたという流れでした。

そして無事に契約・決済とお話は進み、売買の案件は終了しますが、その後の物件管理は「私の会社に任せたい」とのことでしたので、引き続き管理を続けることとなったのです。

なお物件には一部屋空室がありましたので、新規募集を開始したところ、間もなくしてある客付け業者から「申込みを入れたい」との連絡が入ります。

そこで申込みの内容を確認してみると、入居希望者は40代男性の一人暮らしであり、職業はフリーターとなっていますが、収入はかなり低めです。

とりあえずは保証会社の審査を通し、オーナーさんに契約して良いかの確認を入れますが、ここで思わぬ答えが返って来ました。

それは「契約はして良いけど、当初の一年は定期建物賃貸借契約でお願いしたい」との回答だったのです。

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定期建物賃貸を利用するメリット

別記事「定期賃貸借契約とは?という疑問にお答え致します!」にて、この契約形態については詳しくご説明しておりますが、改めてその内容を軽く解説してみます。

定期賃貸借契約は、平成5年の法改正で新たに設けられた賃貸借契約の形態であり、文字通り「更新なく賃貸借契約を終えられる」契約形態です。

「そんなの当たり前なのでは?」と思われるかもしれませんが、これまでの「普通借家契約」では、余程の事情が無い限りオーナーからの契約解除、更新拒絶は出来ないとされていましたし、

一年未満の契約を結んでしまうと、法的には「契約期間永遠」という解釈になってしまったりと、あまりに貸主に不利な契約形態となっていました。

これを是正するために誕生したのが定期建物賃貸契約であり、一定の手続きを踏めば(公正契約である必要はない)決められた期限でパッチリと賃貸借契約を終了することが出来るのです。

但し、内容的には借りる人間に不利なものとなりますので、設定する賃料もそれなりに下げなければならないなど、デメリットがある契約形態とも言えます。

そこでオーナーさんに「募集は普通借家契約でしているのですが・・・」とお話してみると、「それは判っているけど、40歳過ぎてフリーターというのは正直引っ掛かるので、この条件ならば入居可能という回答をして欲しい」とのことでした。

能々お話を伺ってみれば、属性の良い申込人にはこんなことはしないが、怪しいと思われる者には、この条件を提示するのが方針であるとのこと。

その代わり、一年間の賃料は月額2000円の値引きをするものとし、この期間に賃料滞納や近隣トラブルが発生しなければ、一年後に賃料を基に戻した上、「普通借家契約」にて再契約するというのです。

確かにこの方法でしたら、質の悪い入居者は一年で確実に退去させることが出来ますし、申込人としても普通に生活していれば一年間は安い賃料で入居できる訳ですから、お互いにメリットがありますよね。

ただ、こうしたやり方は私も始めてだったので、ややドキドキしながら先方に打診してみますが、何も問題なく了承を頂くことが出来ました。

その後は何事もなくお部屋の引渡しも終わり、一年後には「普通借家契約」への再契約も完了。

再契約の手続きをした私の会社には事務手数料として幾ばくかの手当も頂けましたので、仕事としても満足行くものとなりました。

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定期建物賃貸借の再契約まとめ

さて、ここまでが定期建物賃貸借契約の再契約を利用した入居者募集の体験記となります。

定期建物賃貸借契約は、制度としては知っていたものの、賃料を下げて募集しなければならないなどの事情で、これまで殆ど行ったことがありませんでした。

しかし、この様な方法で定期建物賃貸借を利用すれば、質の良い入居者を確保し易くなりますし、住んでみれば問題のない入居者を審査落ちにしてしまうというリスクも回避出来ますよね。

なお現在では、このオーナーさんに了解を得た上で、私の会社でもこの方式を採用しております。

定期建物賃貸借の制度を利用して、ウィークリーマンションの経営や、シェアハウスの運営など、様々なビジネスが展開されておりますが、同じ制度でも使い方次第で様々なメリットを得られることを改めて実感させられる出来事でした。

皆様にも是非、定期建物賃貸借を利用した「質の良い入居者確保」をお試し頂きたいものです。

ではこれにて、定期建物賃貸借契約の再契約の体験記を締め括らせて頂きたいと思います。