建売、引渡しまでの流れ

 

これまで3回に渡って、私が初めて担当した建売現場での体験記をお送りして参りましたが、遂に物件も完成を迎えることが出来ました。

しかしながら、建築に気を取られ過ぎていた管理人は、販売活動をスッカリ忘れており、社長からのお叱りを受けるという失態を演じてしまいます。

そこで早速、販売に取り掛かることになりますが、物件の引き渡しを完了するまでには、まだまだ様々な問題が待ち構えているのでした。

では、初めての建売現場体験記の最終話となる「建売、引渡しまでの流れ」編を見て行きましょう!

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販売活動開始・好調な滑り出し

社長からのお叱りも受けましたので、「ここは一発気合を入れた販売活動を!」と行きたいところですが、実は建売屋さんが自ら販売を行うことは滅多にありません。

詳しくは「不動産営業の仕事内容!建売屋さん編」の記事にて解説しておりますが、まずは物件を買わせて(卸して)くれた仲介業者さんに優先的に販売活動をお願いするのが業界の暗黙のルールとなっているからです。

これは物件を紹介した仲介業者さんに「出来る限りのお礼をする」という意味合いがあり、物件を仕入れた際の手数料に加えて、建売分譲の際の手数料収入も獲得して頂き、「次の仕入れもよろしくお願いします」という気持ちを伝えることになります。

また通常であれば、土地を卸してくれた仲介業者さんも「早く再販売をさせてくれ!」と煽ってくるものなのですが、この業者さんは他の仕事が忙しく、手が回っていなかったご様子。

とりあえずは完成するまで声を掛けなかったお詫びをし、改めて現地販売会等をやる気があるかを打診してみます。

すると、他の仕事も一息付いたタイミングであるとのことで、「しばらく間、販売会をやらせて欲しい」とのお返事を頂きました。

以来、週末には現地で売出しを行ってくれたのですが、初めて2週目にして、2棟中の1棟に申し込みが入って来ます。(それも値引き交渉無し)

この滑り出しの良さに、社長は「値段が安過ぎたのでは!」と嘆いていましたが、私自身も「これは楽勝で販売終了だな」なんて甘いことを考えておりました。

後日、申込みを入れて来たお客さんとは無事に契約も完了し、後は外構などを打ち合わせをしながら、決済を待つだけの状態です。

そして「残り一棟も直ぐに・・・」と考えていましたが、以来、現地販売会に来場するお客はパッタリと途絶えてしまったという報告が入って来ます。

物件を卸してくれた仲介業者さんは以降も根気よく売出しを続けてくれたのですが、既に2ヶ月以上の時間が経過していました。

 

苦 戦

建売用地を買わせてくれた仲介業者さんには、気の済むまで販売活動を行って頂き、成約すれば建売販売分の仲介手数料もお支払いするのが当たり前です。

また成約に至らなかったとしても、多くの購入希望者が現地販売会を訪れることになりますから、この来場者を顧客として捕まえて頂ければ、それはそれで建売屋さんから仲介業者への恩返しが出来たことになるでしょう。

但し、売出しに全くお客が来ないのでは、これはお礼どころか「ただの時間の無駄」となってしまいますよね。

また仲介業者さんも自分が物件を卸した手前、「販売活動を降りたい」とはなかなか言い出し辛いものがあるはずです。

そこでやんわりと、私の方から「負担になってません?」と話を振ってみます。

すると「うーん、出来ればもう一棟も売りたいんだけど、他の仕事が忙しくて・・・」とのお返事でしたので、毎週の売出しはストップして頂き、新たな現地販売業者を探し始めます。

「この期に及んで、まだ自分で売らないの?」というお声も聞えて来そうですが、こうしてフリーになった現場にて現地販売会をさせて欲しいという会社は意外にあるものです。

そして、ここで売出しをさせて上げ、お客を付けてもらえれば、新たな仲介業者との「ご縁」が誕生することになりますから、まだまだ自社での販売は行いません。

とりあえず、知り合いの不動産屋さんに声を掛けたところ、2社程が手を上げましたので、1ヶ月交代で販売会をお願いします。

しかし残念ながら、その結果は撃沈。

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この様に苦戦を強いられている間に時間は過ぎ去り、既に完成から5ヶ月が経過しようとしていました。

実は不動産の広告を行う際には、完成から1年以上経過した物件は、未入居のものでも「中古」と表示しなければならないというルールが存在します。

また、プロジェクトの資金を借りている銀行に対しても借入れ期間は1年と設定するのが通常です。

よって、「完成から1年が経てば、例え販売が終了していなくても借りた資金全額を返済しなければならない」というのがルールとなります。

「これはヤバいぞ!」と気持ちばかりが焦りますが、その後も買い手は現れず、ついに8ヶ月が経過。

「一括返済」と「中古という烙印」が目の前まで迫り、社長からの圧力が日に日に増加して行きます。

そして遂に、「自分で販売せよ!」とのお達しが下りますが、世の中は不思議なもの。

売出し中の業者から、絶好のタイミングで「買付証明(申込み書)」が送られて来ました。

 

祝!販売完了

「これは天の助け!」とばかりに買付証明書の内容を確認したところ、購入希望価格は定価の200万円ダウン。

仕入れの際の試算では1棟あたり300万円、2棟で600万円の利益を見込んでいましたから、これでは予想利益の1/3を失うことになってしまいます。

「社長は一体どんな判断を下すのだろう?」と心臓をバクバクさせながら、買付証明を手渡しますが、しばらく考えたのち「これで売ってしまえ!」との指示が出ました。

確かに、200万円の値引きは痛過ぎますが、残り4ヶ月でこれ以上のお客が付くとは思えません。

『普段はえばってばかりだけど、こういう思い切りの良さがあるから社長なんだな・・・』と改めて感心しながら、仲介業者に「OK」の返事をします。

そして、このお客様との契約も無事に完了。

実は収入の面などで、あまり内容の良いお客さんとは言えず、「ローン解除になったらどうしよう」と夜も眠れない日が続きましたが、これもどうにか回避して、無事に物件の引き渡しを終えることが出来ました。

そしてこの瞬間、遂に初めて担当した建売現場の仕事もフィナーレを迎えたのです。

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初めての建売まとめ

ここまでのお話が、私が初めて経験した建売ビジネスの体験記となります。

「不動産屋さんは儲かる!」「建売屋さんの利益は凄い!」などと言われていますが、今回のケース以上に利益が少ない現場も経験して来ましたので、これが建売屋さんの現実なのでしょう。

また、売り上げを上げるたいばかりに、多くの棟数をこなし、少しでも安いハウスメーカーを探すという悪循環に陥り、最終的には廃業を余儀なくされた不動産屋さんも何社か目にしています。

建物代をケチれば、クレームや改修工事も増えて来ますし、無理な仕入れを続ければ、売れ残りのリスクも高まりますから、これは当然の結果ですよね。

不動産の世界でも、焦らず堅実に、そしてコツコツと努力を積み上げていくのが、何よりも大切なようです。

ではこれにて、初めての建売体験記を締め括らせて頂きたいと思います。