建築協定と地区計画の違い

 

マイホーム購入を目指して物件探しをしている際、販売図面の備考欄などに時折見かけるのが「建築協定あり」や「地区計画あり」といった文言です。

どちらもあまり聞き慣れない言葉であることは確かですし、「建築に関する制限」という漠然とした内容は理解出来ても、その詳細についてはなかなか知る機会がありませんよね。

もちろん、これらの制限が掛かった地域の物件を購入するのであれば、重要事項の説明などで仲介業者から詳しい説明を受けられるでしょうが、これらの事項は物件の将来に大きな影響を及ぼす規制となりますから、事前に知っておいて決して損はないはずです。

そこで本日は「建築協定と地区計画の違いを解説致します!」と題して、この二つの制度の違いや、特性について解説してみたいと思います。

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地区計画

ではまず、地区計画の内容からご説明して参りましょう。

普段、何気なく暮らしている私たちの街にも、様々な「決まり事」があるものです。

ゴミの分別のルールに始まり、小学校や中学校の学区などがそれに当たりますが、実は「街づくり」に関しても行政が決めた方向性が定められており、これを「市街化区域」や「用途地域」などといった呼び方をしています。

こうした区域においては、主に市街化を進める地域、商業を推奨する地域、住環境を守る地域など、様々な街づくりの指針が示されているのです。(詳細は過去記事「不動産の用途地域と種類、注意すべき点などについて解説」をご参照下さい)

しかしながら用途地域などの指定は、ある程度まとまった面積ごとに行うものとなってしまいますから、かなり「ざっくりとしたルール」しか定めることが出来ないのが実情でした。

そこで出番となるのが、非常に小さなエリアでも様々な建築の規制を行うことが出来る「地区計画」という制度となる訳です。

例えば地区計画を利用すれば、「ビルが立ち並ぶオフィス街ではあるが、そこにあるお寺の周辺だけは高層ビルが建てられない」という様な自由な街作りも可能となりますから、これはなかなか便利な制度と言えるでしょう。

なお、実際の地区計画の設定については、行政(市区町村)などが主体となり、建築基準法12条の定めに従って手続きを進めていくことになります。

もちろん、地区計画が設定される地域に既に住まう方々の賛同は必要となりますが、必ずしも全員の了解は必要としない上、一度地区計画に指定されれば、その区域に住まう地権者全員がこれに従う義務を負うこととなるのです。

また、地区計画の設定以後は用途地域などと同等の扱いを受けますから、廃止や変更には複雑な手順を踏まなければなりませんし、取り決めに反した建築を行おうとする者には、建築確認を下さないなどの制裁措置も可能となります。

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建築協定

これに対して建築協定は、建築基準法69条に定められた手続きとなり、地区計画と類似した外観を持ちながらも、その詳細はかなり異なる制度として知られています。

地区計画と同じく、一定のエリアに「最低敷地面積」や「高さ制限」等の建築制限を設ける制度となる建築協定ですが、その最大の違いはあくまで「住人が主体となって制定するもの」であるという点です。

例えばある地域の住民が、自分の住む周りのエリアを田園調布のように、一軒一軒の敷地が広大な高級住宅地にしたいと考えたとします。

そして周囲で声を掛け合い、このアイデアに賛同する者達が一定数集まったなら、具体的なプラン(敷地面積の大きさや、協定の継続期間、違反者への罰則)を取り決めた上、行政(市区町村)に許可の申請を行うのです。

もちろん、行政が賛同しなければ建築協定は効力を持ちませんが、許可が得られれば、地域住民によるオリジナルの建築規制区域が完成することになります。

こんなお話をすると、「高層ビルが建てられる建築協定区域を作り、地価を吊り上げよう!」なんて考えを持たれる方もおられるでしょうが、原則建築協定は元々定められている用途地域などの規制を緩和することは許されませんから、むしろ規制を強化する方向のみに利用されることになるでしょう。

なお、協定立ち上げには対象区域の土地を所有する者全員の賛同が必要であり、反対する者が居れば、その所有地を避けて設定しなければなりませんから、実際の協定区域を見ると非常に「いびつ」な形状をしたものも少なくありません。

またこの制度では、一人協定(いちにんきょうてい)というパターンが許されているのも特徴的です。

これは不動産業者が50棟、60棟など戸数の多い分譲地を販売する際に利用する制度であり、デベロッパーが自分で作り出した街に、独自のルールを設けることが可能となります。

「そんなことをして何かメリットがあるの?」というお声も聞えて来そうですが、『建築協定がありますから、周囲に高いビルやマンションが建つ可能性は低いですよ』と言われれば、購入希望者的には非常にありがたいメリットとなるはずです。

因みに指定区域内で建築協定に違反した建物を建ててしまった場合については、あくまでも民間人同士の協定であるため、地区計画の様に「建築確認が許可されない」なんていうペナルティーが課せられることはありません。

但し、協定は一種の契約として解釈されるため、建築協定を運営する側(周辺住民で構成される委員会等)から訴訟などを起こされる可能性が高いでしょう。

また、一度制定された建築協定を廃止するためには、指定区域住人の1/2の賛同が必要となります。

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地区計画・建築協定まとめ

さてここまで、地区計画と建築協定の違いについてお話して参りました。

どちらも非常に狭い地域に一定の建築制限を加える制度となりますが、その中身については、かなり異なる制度であることをご理解頂けたことと思います。

なお、地区計画は行政が主導となることもあり、現在でもその指定区域を徐々に増やし続けている状態ですが、

建築協定に至っては全国で年間100ヵ所以上が新規に認可を受けているといいますから、物件を購入する際には是非ともご注意頂きたいところです。

「建築制限」という言葉からは、何やら煩わしいイメージも感じられてしまうかもしれませんが、制限の内容次第では快適な住環境を長期に渡って確保することが可能になりますから、区域内の取り決めを良く理解して、購入の意思決定を行って頂きたいと思います。

ではこれにて、「建築協定と地区計画の違いを解説致します!」の知恵袋を閉じさせて頂きたと思います。