不動産譲渡時の税金控除

 

不動産にて資産をお持ちの方にとって、常に気になるのが税金の問題ですよね。

都心部にお住いなら、マイホームの固定資産税もバカにならない金額となるでしょうし、愛するお子様への相続などを考えると「夜も眠れない」という方も多いはずです。

また、そんな不動産と税金という問題の中でも、特に多くの方が疑問をお持ちなのが不動産を売却した際の譲渡所得に関するものとなるのではないでしょうか。

我が国では不動産の譲渡に際して、数種類の税制優遇がありますが、個々の制度を正確に把握するのはなかなか難しいのが現実です。

そこで今回は、「不動産譲渡時の税金控除をまとめてみます!」と題して、不動産売却時の所得税に係る優遇措置についてお話してみたいと思います。

なお、相続税に関しては、過去記事「相続と不動産、税金に関する基礎知識を身に付けよう!」をご参照下頂ければと思います。

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様々な種類がある譲渡所得税の優遇

冒頭でも申し上げた通り、不動産を売却した方に対して、我が国では数種類の減税措置が用意されています。

通常の場合ですと、不動産を売却した場合の譲渡益に関しては、その物件を買った際の購入価格(購入価格が不明な際は、売れた価格の5%が取得価格)や、不動産義業者に支払った仲介手数料などを差し引いた額が「課税の対象」です。

また税率については保有期間により変動がありますが、5年以上の長期保有でも20%(住民税と含む)となりますから、2000万円で購入した土地を8000万円で売却した場合には、ザックリ計算して(売却価格8000万-購入価格2000万)×20%=1200万円もの所得税を収めなけばならないことになるでしょう。(5年未満の短期保有の場合は更に税率が上がります)

そして、「これではあまりに納税者の負担が大きくなり過ぎてしまう」ということで、国としてもいくつかの税制優遇を設けることにしました。

但し一言で優遇と言っても「直接税率が下がる」ものもあれば、ある制度では「売却益からの直接控除」、またある制度では「当初の購入額をアップさせる」など、その方式には様々なものが存在。

結果、こうした多様性が「税金のことは良く解らない」というお悩みに直結してしまう訳です。

そこで今回は、制度の細かい規定よりも、「解り易さ」に焦点を当てて、各種の不動産譲渡時の税金控除をまとめてみることにします。

 

①居住用財産売却時の3,000万円控除(マイホーム)

不動産を譲渡した際の最もポピュラーな税制優遇がこちらの3000万円控除であり、売却による譲渡益から3000万円を丸々控除することが可能となります。

例えば今住んでいる自宅を売却して5000万円で売却した場合、通常であれば取得価格と必要経費を差し引いた譲渡益に対して課税されることとなりますから、取得価格等が1500万円なら5000万円-1500万円=3500万円(譲渡益)に対して税金が掛かって来るのが通常です。

しかしここで3000万円控除を利用すれば、5000万円(売却金額)-1500万円(取得価格等)-3000万円(控除)=500万円(譲渡益)という優遇を受けることが出来るのです。

因みにこの制度、マイホームとして使用していた不動産にのみ利用することが可能となりますが、住まなくなった日から3年間は有効という非常にありがたいものとなっています。

都心部などに存する数億という価値の物件の売却では、それ程この優遇の効果を実感出来ないかもしれませんが、通常の地域にお住まいの方ならば自宅の売却において絶大な節税効果が期待出来るでしょう。

 

②マイホーム売却時の軽減税率

こちらも非常に有名且つ、効果の高い減税制度となります。

冒頭でお話した通常の不動産売却に対する譲渡所得税の税率20%(長期保有の場合)を「10%」まで引き下げてくれる制度となります。

なお、譲渡益が6000万円を超える場合には、税率ではなく(譲渡益-6000万円)×15%+600万円というのが、税額の計算式です。

但し、軽減税率の適応を受けるためには「所有期間が10年を越えていること」や、「生計を共にする親族への売却でないこと」などの制限もあります。

因みにこの制度、次項でご紹介する③買い換え特例との併用は不可となりますが、①居住用財産売却時の3,000万円控除とは併用が可能ですから、これは実にありがいですよね。

 

③特定のマイホームを買い換えたときの特例(買い換え特例)

次にご紹介する優遇措置も「マイホーム売却のケースのみの適応」となりますが、①や②との違いは、「買い換え」が要件になっているという点です。

この制度、所有するマイホームの買い換えにおいて、現在住んでいる物件を売って得た利益よりも、新たに買う物件での支出が大きかった際に利用できるものとなります。

仮に1000万円で買った物件を4000万円で売却し、6000万円の物件に買い換えたとしましょう。

本来なら、売却価格4000万円-取得価格1000万円=譲渡益3000万円が課税対象になるはずですが、買い換えた物件が6000万円と高額なため、この譲渡益への課税が免除されるという訳です。

但し、完全に免除される訳ではなく、次に6000万円で買った物件を売却した際に利益が出れば、前回免除された譲渡益(今回のケースなら3000万円)が後から課税されるというシステムとなります。(課税の繰り延べ)

先程の例に当てはめるならば、6000万円で買い換えた物件が将来的に8000万円で売れた場合には、本来2000万円が課税対象となるはずですが、

前回売買の繰り延べ分3000万円が残っていますから、今回譲渡益2000万円+前回繰り延べ分3000万円=5000万円が今回の売買での譲渡益と見なされる訳です。

「結局課税されるのか・・・」とお思いになるかもしれませんが、一生の間にそう何度もマイホームを売買する方は少ないでしょうから、使い方によっては非常に有効な手段となるでしょう。

因みに、この③買い換え特例と「①居住用財産売却時の3,000万円控除」及び「②マイホーム売却時の軽減税率」との併用は不可となりますから、①②をセットで利用するか、③のみを利用するかの選択を迫られることとなります。

また、この特例を利用するには、買い替える物件が築25年以内の建物であることや、売却先が親子や夫婦でないことも要件となるでしょう。

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④相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

この優遇制度は、相続時専用の特例となります。

例えば1億円の財産価値のある物件を相続し、2500万円の相続税を課税されたとしましょう。

この相続税を現金で払えれば問題はありませんが、これが出来ない場合には慌てて不動産を売ることになりますので、結果売れた金額が2500万円だったとします。

当然、この売却で得た収益2500万円については、購入した際の取得費用を差し引いて所得税の課税がなされるのですが、相続においては対象の土地等を「当初いくらで購入したかが判らないケース」も多く、こうした場合の取得価格は売却価格の5%とするのがルールです。

こうなると売却価格2500万×5%=取得価格125万円となり、売却価格2500万円-取得価格125万円=2375万円が譲渡所得税の対象となってしまいますが、相続税2500万円を支払うために売却したのに、その上、譲渡所得税まで払わされるのはあまりにも「酷いお話」ですよね。

そこで導入されたのが「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」であり、この減税措置を利用すれば相続税額と同額の2500万円を取得価格として申告することが可能なのです。

つまり、売却益2500万円-取得価格2500万円=譲渡所得0円となり、所得税は免除となります。

なお、相続財産の中に借金(債務)などがある場合には、少々計算が変わって来ますから、その点には注意が必要です。

 

⑤空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除

①居住用財産売却時の3,000万円控除と似ていますが、その内容は全くの別物となり、近年問題となっている空き家対策用に平成28年に導入された新たな減税措置です。

ザックリご説明すれば、以前親などが住んでいた家が空き家になったものを売却する際に、3000万円の譲渡所得控除が受けられるという制度となりますが、

少々仕組みが複雑となりますので、別記事「空き家3000万円控除(所得税控除)の概要を判り易く解説!」にて、詳細をご説明させて頂きます。

 

⑥売却時に損失が出た場合の特例

こちらは譲渡所得税の減税とは少々異なりますが、マイホームの売却価格が購入時の価格を下回る際などに利用可能な税制優遇となります。

制度としては「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の二種で、

前者はマイホーム買い換えに際して損失が出た場合、後者は買い換えでなくとも良いのですが、売却した価格よりも住宅ローンの残額が上回る際にそれぞれ適応されるものです。

効果としては両者共に、売却が行われた年の所得税から、損失分を控除出来る上、引ききれない分についてはその後3年に渡って控除が可能(繰越控除)となっていますから、売却により損失が出た場合には、是非お勧めしたい特例となります。

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譲渡時の税金控除をまとめ

さてここまで、不動産売却時の譲渡所得に関する減税制度のあれこれを見て参りました。

既に多くのサイトで紹介されている内容となりますが、その多くが「細かく解説し過ぎていて、解り辛い」とのご意見を耳に致しましたので、『解り易さ重視』で解説してみました。

詳細については、国税庁などのページでご確認頂ければと思いますが、「自分がどんな減税措置を受けられそうか?」については、この記事で充分に判断が付くはず。

マイホームの売却は人生での一大イベントとなるはずですから、後から「失敗した!」なんてことにならない様、十分ご注意頂ければと思います。

ではこれにて、「不動産譲渡時の税金控除をまとめてみます!」の知恵袋を閉じさせて頂きます。