インスペクションと瑕疵保険

 

不動産業界、そして中古住宅売買に大きな影響を及ぼすであろうと言われているのが、インスペクションと呼ばれるものです。

インスペクションの概要につきましては、過去記事「インスペクションとは?不動産取引の新たな潮流を解説します!」にてご説明していますが、簡単に申せば『中古住宅の検査制度』を指す言葉となります。

今も不動産の市場には、多くの中古戸建が流通していますが、購入後の雨漏りやシロアリ浸食の発見など、トラブルが絶えないのが現状です。

そして、こうした状況を打破するべく国土交通省はインスペクションと呼ばれる売買前の建物検査を世に広めていこうと考えています。

なお既に、不動産業者の活動を規定する「宅地建物取引業法」においても改正が行われ、『中古戸建売却際しては、売主へインスペクションを推奨するべし』なんて条項まで盛り込まれる事態となっているのです。

確かに売買前に検査を受けていれば、売却後のトラブルは減少するとは思いますが、これだけではまだまだ「取引の安全性が確保された」とは言い難いでしょう。

そこでインスペクションと共に整備されることとなったのが、中古住宅用の瑕疵保険制度なのです。

本日は、「インスペクションと瑕疵保険について解説致します!」と題して、この保険制度の詳細を解説してみたいと思います。

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中古住宅瑕疵保険の必要性

冒頭でも申し上げた通り、中古戸建の売買は他の物件に比べ、雨漏り等の瑕疵(見えない建物のキズ)に関して大きなリスクを抱えた取引となります。

これが中古マンションともなれば、躯体や外壁、基礎など殆どの部分が共用部分となるため、問題が発生しても「責任は管理組合にある!」と言えるのですが、戸建ての場合はその全てを売主が負担しなければなりません。

またマイホームを売却したからと言っても、誰もが大金を手に出来る訳ではありませんから、瑕疵担保による補修費用の負担は売主にとっても非常にリスキーなものとなりますし、

取引について重い責任を担う不動産屋さんにとっても大変に「ドキドキ」させられるも問題となる訳です。

実はこうしたリスクに備えるため、インスペクションが叫ばれる以前から、中古戸建を対象とした瑕疵保険自体は既に存在していました。

ただ、保険の加入にはそれなりの費用が掛かりますから、この制度は 殆ど一般の方に普及しておらず、「不動産会社が中古物件の転売に際して加入する保険」という位置付けになっていたのです。

しかし今回の国土交通省のアクションにより、全ての不動産業者が売主に対してインスペクションを勧めるようになれば、「中古住宅にインスペクションは当たり前」の時代が到来し、「インスペクションを受けていない住宅は購入しない」というお客も増えて来るはず。

そうなれば当然この中古住宅向けの瑕疵保険もニーズが高まってくることになるでしょうから、是非この保険の中身について知っておきたいところですよね。

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中古住宅瑕疵保険の概要

ここまでの説明でもお判りの通り、この保険の最大の特徴は中古物件の売買に際して、雨漏り等のトラブルが発生した場合に保険金が支払われるという点です。

保険業務を行うのは、住宅瑕疵瑕疵担保保険法人と呼ばれる5つの法人(平成29年現在)となり、そのどれもが国土交通大臣の指定を受けた、身元のしっかりとした法人となります。

保険の申請窓口は、建築確認の審査などを請け負う民間の検査機関がこれに当たっており、ここを通して5つの法人のどれかと保険契約を結ぶことになるのです。

なお、保険料については法人ごとに若干異なりますが、保険料と現場検査(インスペクション)を含め10万円以下となっている商品が多い模様。

保険の申し込みについては、物件の売主・買主どちらでも可能となっており、基本構造部分(構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分)に瑕疵が発見された場合には、買主に対して保険料が支払われます。

因みに、支払われる保険金に関しては1000万円が上限となっており、補修費用はもちろん、調査費用、工事中の仮住いまでもカバーする手厚さが魅力でしょう。

ただ、ここで注意したいのが、この保険はあくまで基本構造部分の瑕疵保険であり、配管の故障やシロアリの被害などには適応されないという点です。

そしてこの弱点をフォローするべく、各保険法人は様々な特約商品(配管保障特約・シロアリ保証特約)を取り揃えていますから、「基本構造部分のみの保険では心配」という方は、追加費用を支払って保険をカスタマイズする必要があるでしょう。

 

様々な税制優遇

中古住宅の瑕疵保険については、ここまでのご説明でおおよそご理解頂けたことと思いますが、行政はこの保険制度を利用してもらうために様々な「メリット」も用意してくれています。

この項では、その主だった優遇措置について解説して行きましょう。

 

登録免許税

登録免許税とは、不動産を登記する際に課税される税金となります。

通常ですと建物の所有権移転登記に課税される税率は2%、抵当権の設定には0.4%となりますが、中古住宅の瑕疵保険に加入していれば、所有権移転が1.5%、抵当権の設定が0.1%となるのです。(築20年以内の木造建築物、新耐震基準適合の建物でも同様の優遇が可能)

 

築年数の古い建物でも住宅ローン控除

住宅ローン控除住宅の取得にローンを利用した場合、最大で10年間・400万円の控除を受けられる制度ですが、中古住宅の購入となると木造なら築20年以内の建物に限定されてしまいます。(但し新耐震基準適合の建物は例外)

しかし中古住宅の瑕疵保険に加入すれば、築年数の限度が免除されますから、これは非常に有り難いですよね。

 

その他の優遇

先に挙げた2つ優遇以外にも、不動産取得税、すまい給付金、譲渡所得の買い替え特例、贈与税の非課税制度などにおいて、瑕疵保険加入住宅には多くのメリットが用意されています。

こうした優遇の豊富さからも、国が如何にこの制度を広め、定着させて行きたいかが判りますよね。

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インスペクションと瑕疵保険制度まとめ

さてここまで、インスペクションと瑕疵保険制度の概要についてご説明して参りました。

マイホームを探しておられる方々の間では、「中古戸建の購入は非常にリスキー」という認識があるかと思いますが、この保険制度が普及すれば、こうした問題も解決されるはずです。

また、保険制度自体は現在でも利用可能ですから、購入申し込み時に「保険を利用したい」と申し出ることで、より安全な取引が行えるのではないでしょうか。

なお、中古住宅の売買とは少々異なりますが、今回ご紹介の瑕疵保険制度はリフォームの分野での活用も注目を集めています。

ニュース番組などで「悪質リフォーム業者に騙された」なんてお話もお聞きしますが、瑕疵保険商品の中には「リフォーム瑕疵保険」というものが用意されており、工事が原因で発生したトラブルに対して保険金が支払われるのです。

但し工事に当たっては、保険法人指定の業者を利用しなければなりませんが、この制度を利用すれば後々のトラブルを回避出来ますから、こちらもおすすめでしょう。

子孫たちに残していく大切な資産を守るために、瑕疵保険をご活用頂ければ幸いです。

ではこれにて、「インスペクションと瑕疵保険について解説致します!」の知恵袋を閉じさせて頂きたいと思います。