不動産物件調査(現地)

 

不動産の売買を行う際、取引の仲介を行う者が最も力を入れなければならないと言われるのが「物件調査」です。

一般の方にいまいちピンッとこないかもしれませんが、一度でも契約上のトラブルで揉めたことのある不動産屋さんなら、物件調査の重要性が身に浸みていることでしょう。

また、こんなお話をしている私自身も売買案件の調査の時はかなりピリピリしてしまう上、未だに失敗してしまうこともありますので、「ノウハウをお教えする」などという偉そうなことは言えませんが、

『こういう調査の仕方をしている奴もいる・・・』程度の感覚でご参考にして頂けばと考え、本日はその流れや注意点をご紹介してみたいと思います。

なお、物件調査には現地調査と官庁で行う行政調査がありますが、今回は現地調査にのみ限定させて頂き、また後日、行政調査について記させて頂くつもりです。

では、不動産屋さんの重要な仕事の一つ、不動産物件調査について考えてみましょう。

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周辺環境

宅建業法において、不動産会社や取引主任士がお客様に対して負う責任は、無過失責任であると定義されています。

つまり、不動産屋さんに過失がなくても「この事実知っていたら、この物件を買わなかった!」とお客が感じれば、その責任は全て不動産会社側にあることになるです。

また民法上も、媒介契約を締結する以上は物件の瑕疵や問題となり得る事項についての説明責任を負うとされておりますから、ミスをすれば宅建業法違反の行政処分に加え、民事上の損害賠償命令が下されることになります。

こんなお話をすると不動産業者さん的には「何とも不条理・・・」と感じてしまうかもしれませんが、『ルールはルール』ですから、やれる限りのことはやっておきましょう。

 

さて、現地調査においてまず注意するべきは、住環境に影響を与える嫌悪施設の有無の確認です。

お墓に葬儀場、騒音振動の原因となる工場や線路、道路などが近くにないかを徹底的にチェックして行きます。

また、この際に気を付けなければならないのは、「問題となる施設の全てが継続的な音や振動、臭気などを発生させている訳ではない」ということです。

住宅の一部で密かに操業している工場などは、土日に作業をしていないケースがありますし、夜になると大音響でカラオケの音を轟かせるスナックなどがありますから、これは非常に危険。

調査に行く時間や曜日を良く考え、最低3回は現地の様子を観察したいところです。

また競馬場の近くなどなら、レースがあった日のみ、柄の悪いおじさん達が大挙して歩く道も存在しますし、派手なお祭りを行うことで有名な神社なども要注意と言えるでしょう。

そして更に怖いのは、暴力団事務所、そして組員や組長の自宅となります。

組事務所については警察などへのヒヤリング調査等で対応出来ますが、個人宅は人権の問題との絡みから、教えてもらえないケースが殆ど。

そんな現状を考えれば、ここで役立つのは「近隣への聞き込み調査」意外にはないでしょう。

但し、突撃インタビューをしても怪しまれるだけですから、売却依頼を受けた時から、近隣の方と挨拶、雑談などを交わしながら、顔見知りを増やしておくのが得策です。

これにより、騒音おばさんのような危険人物の存在も察知出来る可能性が高まりますので、試す価値は充分なのでは。

※嫌悪施設に関しては別記事「不動産の嫌悪施設についてお話してみます!」にて更に詳しい解説を行っております。

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物件本体の調査

さて続いては、物件自体に潜む問題を調査して行きます。

ここでは主に以下の点が重要な調査ポイントになるはずです。

 

越境

不動産の売買において最もトラブルに発展し易い問題の一つが、この越境に関するトラブルです。

越境問題に関する記事でも書きましたが、古い分譲地や借地が連なる地域では、ブロック塀が境界の真ん中に建てられていたり、境界線を斜めに横切る様にブロック塀が設置されているのを良く見掛けます。

こんなケースでは、売主にブロック塀の所有者が誰であるのかを確認した上、その相手方にも声を掛けて、塀の所有権に関して認識の違いがないか確認した上で、越境等の覚書を交わすところまで出来れば完璧でしょう。

また、「自分の目線の高さ」にばかり気を取られていると見過ごしがちなのが、空中越境です。

隣接地の「電話線や電線が物件上空を横切っていないか」、また「隣家の屋根や軒がこちらの土地を侵害していないか」、そして「庭木の枝が伸びて越境していないか」も重要なチェックポイントとなります。

そして一番厄介なのが、地中の越境物です。

両隣りや裏のお宅の水道管や下水管が取引対象の土地を通過しているケースもありますし、反対に取引する側の配管が隣地に越境している場合もあります。

水道であれば、対象地と近隣の止水栓の位置から、おおよその経路の見当が付く場合もありますし、水道局には敷地内の配管経路を示した資料が保存されていますから、調査は比較的簡単なはずです。

これに対して下水は、下水局にも私有地内の配管に関する資料は残されていませんから、枡の蓋を空け、どの方向から排水路が伸びているかの確認に加え、時には水を流してもらい、流れる方向を確認することも必要でしょう。

※配管調査については別記事「地中配管調査の方法について!(不動産売買重要事項説明用)」にて、地中埋設物に関しては「地中埋設物の瑕疵について考えてみます!」にて詳細な解説を行っております。

 

土地の履歴

現地調査においては、取引対象の土地の履歴を知ることも重要なポイントとなります。

そして最も怖いのが土壌汚染の問題であり、過去に工場や作業所、クリーニング屋などがあった跡地では、土壌汚染が発生している可能性を視野に入れておきましょう。

土地の履歴を知るためには、売主さんや近隣住人への聞き込みも大切ですが、近隣の図書館などに行けば、古い年代の住宅地図を閲覧できるケースがありますから、労力を惜しまず足を運ぶことをおすすめします。

また、今では公共下水が整備されている場所でも、土地に浄化槽などが埋められたままになっていることも多いですから、こちらも依頼者にしっかりヒヤリングをしておきましょう。

浄化槽の撤去は時に大きな出費となりますから、注意が必要です。

 

建物・設備

新築住宅の場合はあまり注意する点はありませんが、中古住宅の場合にはかなり気を遣わなければならないのが、「建物本体と設備の調査」です。

ある程度の年代を経た中古物件の取引であり、且つ個人間売買であるならば、「瑕疵担保免責の特約」(雨漏りや躯体の腐食などに売主が責任を負わない旨の特約)が使えるので問題なし!とお思いの方も少なくないと思われます。

確かにこれは非常に安心な特約ですが、築年数が浅い物件ではなかなか買う側が納得しないでしょうし、あまりに甚大な被害がある場合には、この特約だけでは逃げられない場合もあるようです。

後顧の憂いを断つためにも、出来る範囲の調査はしておきましょう。

本来であれば売主さんにお願いして、建築士などの調査を受けて頂くのが一番安心ですが、それなりに費用も掛かることですので、実現するのはなかなか難しいですよね。

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そこで管理人が行っている調査方法が、以下の手段です。

  • 外壁を隈なく見て回り、塗り壁のクラックやサイディング材の割れをチェック
  • スーパーボール大の鉄球を数個を用意して、建物各階の数か所の床に置き、「転がり」が無いかを確認
  • 天袋や収納などを空け、壁と天井の継ぎ目から雨漏りの跡が無いかを確認
  • 洗面台や風呂場、キッチンの水を流したままの状態で、漏水が無いかチェック

実はこの方法、某公的機関が行っている中古住宅の瑕疵保険調査員が行っていたのをそのままパクったもの。

本格的な調査には程遠い精度ですが、これだけでも「やらないよりは遥かにマシ」なはずです。

なお、中古住宅の瑕疵保険はそれ程値段の高いものではありませんので、専門家の調査が受けられる上、保証も付く点をしっかりと説明すれば、売主さんにも加入を勧めやすいのではないでしょうか。

※平成29年の宅建業法改正においては、中古住宅に対するインスペクションに関する事項が盛り込まれることとなりましたが、この点に関しては別記事「インスペクションとは?不動産取引の新たな潮流を解説します!」及び「インスペクションと瑕疵保険について解説致します!」をご参照頂ければと思います。

 

不動産売買の仲介における媒介業者の責任は「あまりに重過ぎる」と感じることも少なくありませんが、少しでもトラブルを減らせるように、『やれることだけはやっておきたい』ものですよね。

ではこれにて、不動産物件調査(現地)の知恵袋を閉めさせて頂きたいと思います!