不動産売買の仕事

 

就職活動に際して、不動産業者の採用試験を受けるのであれば、売買の仕事を一人で完璧にこなせるスキルは、是非とも身に付けておきたいところですよね。

既に仲介会社での勤務経験がある方にとっては「そんなの当たり前に出来るし!」と思われるかもしれませんが、

賃貸専門の会社から売買メインの会社に移籍を考えておられる方や、初めて不動産会社に就職される方にとっては、正に「未知の世界」と言わざるを得ません。

そこで本日は不動産業ビギナーの方に向けて、新築一戸建て物件における不動産売買の仕事内容・流れについて、仲介業者・建売業者の目線にてお話させて頂きたいと思います。

※なお、今回の記事で扱う物件は業者売主の戸建て(建売)、且つ完成済みであることを前提にさせて頂きます。

 

購入意思決定・買付

では早速、仲介業者がお客様を物件に案内し、購入の意思が決定した状態からお話をスタートしましょう。

仲介業者

仲介業者はお客様(以下 買主)の資金計画などを改めて確認した上、買付証明書を建売業者(以下 売主)に送付します。

なお買付証明書には融資の申し込み先やローン利用金額などを詳細に書き込んでおく上、買主の勤務先や年齢、収入・勤続年数などの情報も得ておきましょう。

こうした情報は、売主が販売中の物件を「止めるか・止めないか」(募集を中断して、契約をするか、しないか?)の重要な判断材料となります。

なお時間に余裕があれば、金融機関の住宅ローン事前審査を買主に受けてもらい、その結果と共に買付証明書を送ることが出来れば完璧です。

因みに、買付証明書送付前に必ず売主に事前連絡を入れるの礼儀であり、送付後に改めて電話をして、自分のお客が購入希望者の一番手として扱ってもらえるかを確認しましょう。

売 主

売主は仲介業者から買付証明書が届いたら、まず買主の内容を精査します。

仲介業者から得た年収等の情報を基に、ローンの返済計画に無理がないかなどを確認します。

この際、資金計画に無理があると感じた場合には、計画の見直しやローンの事前審査の結果を見た上で、物件を止めるか、止めないかの判断を下します。

なお値段交渉が入り、承服出来ない価格を提示された場合には、「買い上がり」を希望する旨を打診しますし、

既に検討中のお客がいる場合には、そのお客にも買付が入ったことを報せ、より良い条件での購入希望が居ないかの確認をします。

こうしたやり取りを行った末、売主・買主互いの合意が取れれば、契約日を設定をして、契約の準備に取り掛かります。

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契約までの準備

契約日の設定が完了すれば、契約書とこれに付随する重要事項説明書等の準備に取り掛かります。

仲介業者

建売の場合、売主が土地の購入・建物の建築に際して、物件に関する多くの情報を得ていますので、その資料をもらい受けて書類作成の資料とします。

仲介業者は取引に際して、売主からも仲介手数料を頂くことになりますから、基本的に契約書・重要事項説明書の作成等は全て仲介業者の業務となるのです。

そしてここで注意すべきは、売主から得た情報を鵜呑みにしてはいけないということです。

建売の場合、売主も不動産業者ではありますが、そのスキルも会社によってまちまちですし、建築は殆どハウスメーカー任せという会社も少なくありませんので、一から自分で納得いくまで現地調査行政の調査を行いましょう。

また、説明事項の中で買主の知らない重要な事項(購入の意思決定に係るような内容)がある場合には、必ず契約前に買主にその事実を告知するべきでしょう。(当然、売主とも事前に売買契約書・重説の内容確認を行います)

なおこの際、「物件状況報告書」と呼ばれる売主からの物件に関する告知書も用意します。

物件状況報告書は契約時に売主に書いてもらうという仲介業者も多いですが、記入するのに意外に手間が掛かるので、事前にメールなどで売主にフォーマットを送り、記載済みのものを持って来てもらう方が無難でしょう。

売 主

契約日時が決まれば、書類作成のために仲介業者に物件資料を渡すこととなりますが、私道内の配管や下水の配管などには図面が無い場合も多いはず。

こうしたケースでは自分で図面を作成するなどして、労力を惜しまない丁寧な資料作りを心掛けましょう。

また、近隣住人との申し合せ事項や、住環境に影響を及ぼすと思われる事項(近隣の建築計画など)があれば、漏れなく仲介業者に伝えるべきです。

こうして売主・仲介業者共同で造り上げられた重要事項説明書・売買契約書を用いて、売買契約を行うこととなります。

 

売買契約締結・重要事項説明

通常、重要事項説明には売主は立ち会わず、説明が終わった頃に現れ、契約書の取り交わし、手付金の授受などを行います。

但し、重要事項の中には売主が直接説明しなければ、後々トラブルに繋がるような内容が含まれていることもありますので、必要な時には労を惜しまずに同席したいところです。

仲介業者

契約に際しての仲介業者の最重要業務は何てといっても重要事項の説明となります。

説明書の内容自体は売主とも打ち合わせ済みでしょうが、買主の誤解を生むような説明をしては全く意味がありませんので、慣れない内は何度も事前にシュミレーションを行った上、本番では買主が理解出来るまで、根気よく説明を行いましょう。

また仲介業者は契約の場においてMC的な役割を果たすのはとなりますので、契約書等の読み合わせに、関係書類への署名・捺印を促す作業などで、大忙しとなるはずです。

またこの際、売主・買主双方から仲介手数料受け取りの根拠となる媒介契約書や仲介手数料約定書も忘れずに署名・捺印を頂きましょう。

なお、必ずしも内緒にする必要はありませんが、「売主・買主双方から仲介業者が手数料をもらうことを快く思わない買主」もおりますので、売主からの媒介契約書等への署名・捺印は、買主の見えない所で、そっと行うのがスムーズかと思います。

売 主

原則として売主は、売買契約に際して署名・捺印を行う程度の仕事しか行わないものですが、ここで忘れてはならないのが「買主から頂ける書類をなるべく預かっておくこと」です。

例えばフラット35(公的ローン)を買主が使うのであれば「保険契約のチェックシート」などを事前に書いてもらっておくと便利ですし、融資解約になれば無駄になるのを覚悟で「表示登記の住民票と委任状」を預かってしまう業者さんも居られる様です。

 

住宅ローンの申し込み

仲介業者は売買契約締結後、速やかに買主が利用する金融機関へローンの本申込みをしなければなりません。

不動産に係るローンは、売主・買主の署名捺印済みの売買契約書がないと審査に入ることが出来ない上、契約で取り決められたローン特約の期日もありますので、出来る限り迅速な申込みをする必要があります。

 

融資特約の期日経過

融資特約の期日を経過すれば、ローン不成立による白紙解約のリスクが無くなりますので、一気に引渡しへの準備が加速します。

仲介業者

まず決済日(引渡し日)の設定を行います。

原則平日の午前中となりますので、不動産業者である売主はともかく、買主には仕事を休んでもらわなければならないので注意が必要です。

また、このタイミングで引渡しの際に登記手続きを行う司法書士も決めておかねばなりません。

但し通常、建売屋さんには出入りの司法書士がいるものですから、売主指定の書士が担当することが殆どでしょう。

こうした出入りの司法書士は、売主とのリレーションもバッチリ取れているはずですし、年間に何度も仕事をするため、買主の登記費用も安く上がる可能性が高いと思われます。

担当する司法書士との最初の連絡は売主が取ってくれるでしょうが、必ず仲介業者からも連絡を入れ、ご挨拶と打ち合わせを行うべきです。

売 主

多くの不動産業者が建売のプロジェクトを行うに当たり、銀行から借入を行っていると思いますので、ここでは物件に付けられた抵当権の抹消準備に取り掛かります。

具体的には、借入先の銀行に打診し、売買契約書を送る程度の作業となりますが、金融機関によっては抹消準備に3週間近く掛かる場合がありますので、出来る限り早めの対応が必要です。

 

金銭消費貸借契約締結(金消契約)

買主が売買代金の支払い際して住宅ローンを利用するには、事前に買主と銀行との間でこの金銭消費貸借契約を結ぶ必要があります。

契約後数日で融資実行が可能な銀行が多いようですが、なるべく早めに行っておくのが良いでしょう。

仲介業者

銀行の担当者と打ち合わせてをして、必要書類を確認した上で、買主と金消契約に行く日程を調整します。

売 主

金消契約に際して直接行う業務はありませんが、フラット35(公的ローン)などを利用する場合には、建物の完了検査を済ませて、フラット35の適合証明書を仲介会社に渡す必要がありますので、金消契約までに検査を完了しておかねばなりません。

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表示登記申請

新築した建物には、登記法の定めにより表示登記(建物の面積や種類、名義人などを表示する登記)を行わなければなりません。

登記完了までに2週間程度の時間が掛かりますので、余裕を持って表示登記の申請をしましょう。

仲介業者

表示登記には買主の住民票と委任状が必要となりますので、売主から表示登記用の委任状の書式をもらい、買主に署名・捺印してもらうか、認印を買主から預かり、売主に預けます。

※表示登記に際して買主に提出してもらう住民票は現在住んでいる住所のもので問題ありません。(所有権移転登記の際に新しい住所の住民票があれば、表示の登記の旧住所は自動的に訂正される)

売 主

仲介業者から買主の住民票と委任状を預かったら、下記の書類を用意して土地家屋調査士に表示登記の依頼をします。

売主の書類

  • 会社謄本
  • 印鑑証明
  • 物件の譲渡証明
  • 検査済証(未取得の場合は建築確認・売買契約書のコピー)

建築会社の書類

  • 会社謄本
  • 印鑑証明
  • 物件の譲渡証明

 

内覧会開催

物件の引き渡し前に、売主・買主、そして仲介業者立合いで物件の現地説明と傷などのチェックを行います。

仲介業者

内覧会には参加しない仲介業者も多いようですが、後のトラブルを避けるためにもなるべく同席しましょう。

また、傷のチェックをするのは良いですが、売主の気分を害すような細かな傷の指摘はなるべく避けるようにして下さい。

なお、重要事項説明書に書いた内容で、現地で確認出来る事項・ゴミ捨て場の位置や越境物、道路標識などは、この際に改めて現物を見ながら説明すると良いでしょう。

因みに、この時期ともなれば決済日なども決まっているでしょうから、固定資産税等の精算金の金額などを計算し、売主・買主が揃う場で確認してもらうのがおすすめです。

売 主

物件内にある傷などを、買主と一緒にチェックして周ります。

この際、壁紙から糊の膜が出てくることや、床下収納の蓋がたわむ、駐車場の土間にヘアクラックが入る、木材が暴れクロスに隙間が出来る可能性があるなど、建物の性質上、不可避な現象についてはなるべく丁寧に説明しておきましょう。

また、売買契約書に定められた境界の明示もこの際に済ましてしまうのが通常です。

なお実質はハウスメーカーの仕事となりますが、この際に買主より指摘を受けた傷などは、引渡し日までに補修しなければなりませんので、迅速な対応が必要となります。

 

住民票の移動

仲介業者は引渡しギリギリのタイミングで、買主の住民票を新たに購入した物件に移動してもらいます。

これは引渡しの登記手続きの際、登録免許税の軽減制度を利用するための作業となります。

移動後は地域の行政機関で「専用住宅証明」を取得し、引渡し時に司法書士に渡します。

※専用住宅証明は司法書士に取得を代行してもらうことも出来ますが、追加料金が発生します。

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決済(お引渡し)

買主が住宅ローンを借り入れる銀行の応接室などで、引渡しを行います。

この場には、売主・買主・仲介業者・司法書士、稀に売主が建売の資金を借りた銀行の職員が同席することになります。

仲介業者

司法書士が売買に必要な売主・買主の書類を確認している隙に、銀行の振込み伝票や振り出し伝票を作成しておきます。

口座番号の記入や署名などは売主・買主が行いますが、金額の記載など出来る限りのことはして上げるべきです。

そして司法書士の書類確認が完了したら、銀行の職員を呼んで融資の実行をお願いします。

月末などですと、融資の実行はかなり時間が掛かりますので、取引完了(売主・買主が連名で無事に取引が完了したことを確認する書式)などの署名・捺印が終わっていれば、ひたすらトークで場を盛り上げます。

融資の実行が終わり、残代金・固定資産税等の精算金の授受、鍵の引渡しが完了したら、売主・買主から仲介手数料を頂き、「これにて全ての取引が完了しました。皆様ありがとうございました!」と高らかに宣言して、仲介業者の仕事は完了となります。

※決済に関しては別記事「不動産決済日の流れについて」にて、更に詳細な解説を行っております。

売 主

引渡しに必要な書類が揃い、融資の実行が開始されたら、住宅の保証書や取扱い説明書などについて買主に説明しましょう。

またこの際、引き渡す物件に特定保守製品に該当する設備(安全性確保のため所有者の登録が法令で義務付けられている製品・浴室乾燥機など)がある場合は、ユーザー登録の義務があることなどを説明します。

その他、物件に関する説明が完了し、残代金を受領し、領収証を渡せば、とりあえず取引は完了となります。

但し売主はこの後長年に渡り、引き渡した物件について責任を負い続けなければなりませんので、ここからが仕事の始まりとも言えるかもしれません。

 

仲介業者・売主の仕事まとめ

さてここまで、新築戸建売買における売主・仲介業者の仕事内容を解説して参りました。

これから不動産業界に飛び込む方は、未知の世界に対して不安で一杯かと思いますので、この記事がそんな方々の助けになれば幸いです。

ではこれにて、売主・仲介業者、不動産売買の仕事内容の知恵袋を閉じさせて頂きたいと思います!