今や建物の設備として欠かせない存在となっているのが、エレベーター(昇降機)なのではないでしょうか。

建売などの個人宅であればともかく、テナントビルや賃貸マンションで3階建て以上となれば、「エレベーターが欲しいなぁ」というのがユーザーの正直な気持ちであるかと思います。

しかしながら、「賃貸物件を建てるオーナーさん」や「中古収益物件を購入する不動産投資家さん」にとって、エレベーターは『意外に厄介な代物・・・』と言わざるを得ない側面もあったりするものです。

そこで本日は「エレベーター付き収益物件について解説致します!」と題して、賃貸物件とエレベーターのあれこれについてお話しさせていただきたいと思います。

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エレベーターとは?

ではまず最初に、「エレベーターとは何なのか?」という点からお話を始めたいと思います。

こんな書き出しをすると「いやいや!エレベーターはもう知っているよ!」なんてツッコミも聞こえてきそうですが、まずは少々お付き合いを願えればありがたいです。

エレベーターと言えば、近代科学の結晶といったイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はその歴史は非常に古く、紀元前のローマ帝国では劇場などに人力のエレベーターが設置されていたと言われています。

その後も中世ヨーロッパのお城などでは、荷物の運搬用に利用が続けられ、産業革命以降は水圧式や蒸気式などの技術革新が繰り返され、現在の電気式エレベーターが誕生することになりました。

また電気式と一口に言っても、動力が電気というだけで、その構造には様々な種類があり、現役で稼働しているものでは「ワイヤー式」や「油圧式」が主流でしょう。

※もっとも油圧式は徐々にその数を減らしつつある傾向にありますが。

なお、冒頭でもお話しした通り、利用者にとっては非常に便利なエレベーターなのですが、物が物だけに設置に掛かるコストは数千万円単位の金額が必要となりますし、安全上の理由で点検作業も欠かせない代物ですから、設置する側の物件オーナーにしてみれば、これはなかなか難儀な設備に他なりません。

因みにこんなお話をすると「エレベーターなんか設置したくないなぁ・・・」なんて気持ちにもなりますが、建物の利便性を考えれば『設置せざるを得ない』の実情ですし、一定規模以上の建物には法令による設置義務もあります。

 

エレベーターの設置基準

さて前項にて、エレベーターの設置義務のお話が出ましたので、本項ではこの点を少々掘り下げてみましょう。

既にお話した通り、一定規模以上の建物にはエレベーターの設置義務がありますが、こうしたルールを定めているのは「建築基準法」「各自治体の条例」「高齢者の居住の安定確保に関する法律」等の法令となります。

まず建築基準法においては「高さ31m以上の建物」について非常用エレベーターの設置を義務付けておりますので、10階建て以上なら確実にエレベーターが必要です。

また、「各自治体の条例」においても建物の用途に応じて設置義務が謳われており、全国的に見ても共同住宅の場合には「4階以上は設置義務あり」というところが多い模様。(但し、地域によっては3建てや、2階建て以上なんてところもあります)

そして最後にご紹介するのが、高齢者の居住の安定確保に関する法律に関する規定で「3階建て以上」とのルールもありますが、こちらは高齢者向けの特殊な建物のみへの適応となりますから、最も注意すべきは「各自治体の条例」ということになるはずです。

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エレベーターと点検

そしてエレベーターの維持管理において欠かせないイベントとなるのが、定期点検と保守点検となります。

何やら似たような名称の点検が2つ出てきましたが、その内容はかなり異なったものとなっており、定期点検は建築基準法12条の定めにより、建築士や専門の資格を有するものが1年に一度行う点検です。

一方、保守点検は国土交通省とエレベーターの業界団体が策定した「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」において、『おおむね1月以内ごと』と謳われている点検となりますから、定期点検に比べると若干ゆるい規定となるでしょう。

また近年、保守点検についてはコンピューターによる遠隔検査なども行えるようになりましたので、実際に作業員が出向いて行う保守点検は、3ケ月に一度程度のスパンとなっているところが多いようです。

因みに保守点検と定期点検を専門業者に依頼した場合のコストはエレベーター一基に付き、月額3~5万円程度となりますが、これが永久に続くとなると相当な額の出費となりますよね。

なお、点検を行う業者によって費用やサービス内容はかなり変わってきますから、業者を変更する際などにはじっくりと比較検討を行いたいところです。

 

エレベーターの更新

続いてご紹介するのがエレベーターの更新工事、すなわち機械の入替え工事についてとなります。

中古で収益物件を購入した場合には、古い型のエレベーターが設置されていることも珍しくありませんし、新築後20年も経過すればそろそろ機械の交換時期が近付いてくるものです。

こんなお話をすると「えっ?毎月点検をしているのに、エレベーターに寿命があるの?」と驚かれる方もおられるでしょうが、これは避けることのできない現実と言えるでしょう。

確かにメンテナンスを頻繁にしているれば「全く動かなくなる」なんてことは滅多にありませんが、徐々に故障が増え始め、異音や振動も気になってきます。

こうなると入居者からも指摘が増えてくるでしょうから、建物自体の価値を高める意味でも更新工事は避けられないものとなるでしょう。

特に油圧式のエレベーターの場合には、現在は殆ど生産されていないため、パーツの在庫も少なく、次に「故障したら交換!」なんて宣告を受けてしまうこともあるはずです。

では、エレベーターの更新工事をするとなれば、一体どれだけの費用と時間が必要になってくるのでしょうか。

もちろん、設置するエレベーターのグレードや建物自体の構造も影響してくるものですが、通常1000万円~2000万円程の工事費は覚悟するべきです。

また、工事期間も1ケ月近く掛かることも珍しくありませんから、その間は入居者に階段を利用していただくことになります。

更に「ピット」と呼ばれるエレベーターの地下の空間(エレベーターが行き来するスペースの最下層)等では、大規模な斫り工事が必要となることも珍しくありませんから、激しい振動と騒音が発生し、クレームになることも多いはずです。

このようにエレベーターの更新工事は、時間もお金も、そして入居者への負担も半端なものではありませんので、中古の収益物件を購入する際にはエレベーターの品質をじっくりと吟味する必要があるでしょう。

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エレベーターと収益物件まとめ

さてここまで、収益物件とエレベーターというテーマで解説を行ってまいりました。

エレベーター付きの収益物件を買うとなると、「いよいよ自分も一端の大家さん!」なんて気分になるものですが、油断していると激しい出費に見舞われることをご理解いただけたことと思います。

また、もしもエレベーターで事故が発生すれば、大家さんには工作物責任という重い責任が伸し掛かることになりますから、しっかりと施設賠償保険に加入しておくなどの備えも必要です。

ではこれにて、「エレベーター付き収益物件について解説いたします!」の知恵袋を閉じさせていただきたいと思います。