消防法

 

法治国家である我が国では、あらゆる事象に対して法の支配がなされています。

こんなお話をすると「それはちょっとオーバーなのでは?」なんて思う方もおられるかもしれませんが、自動車に乗れば道路交通法、隣のお宅と揉め事になれば民法といった具合に、あらゆる出来事に法律が係って来るものです。

そんな日本の法律の中でも非常に重要なものの一つであり、不動産投資家や賃貸経営を行う地主さんと大変に深い関わりを持つのが「消防法」であると言われています。

そこで本日は「消防法!不動産投資家が知っておくべき知識をお届け!」と題して、物件運営には欠かせないこの法令を解説してみましょう。

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消防法とは?

ではまず最初に、「この消防法という法律がどの様なものであるか」についてから、ご説明を始めましょう。

消防法が施行されたのは昭和23年という戦後間もない時期であり、戦時中の空襲で火災の恐ろしさを「これでもか」と味わった先人たちにより、作り出された法律となります。

そしてその目的は、「火災や地震といった災害から国民の生命と財産を守ること」を第一義としており、何度もの改正を繰り返しながら、私たちの生活を守ってくれているのです。

なお消防法は全46条から成る法律であり、その条数の少なさから「甘く見られがち」ではありますが、その内容は非常に難解な上、違反を犯した場合には非常に重い責任を問われるものとなりますから、決して気を抜くことは出来ません。

特にアパートや賃貸マンションのオーナー、ビル管理を行っている者にとっては、消防法上のちょっとした解釈の誤りや、知識の不足が致命打となることも有り得ますから、しっかりと知識は身に付けておきたいところでしょう。

但し、消防法を隅から隅まで極めるのは非常に時間と労力の掛かる作業となりますし、この法令で定めらた資格は防火管理者、消防設備士、危険物取扱者など13種にも及びますから、これをマスターするのは並大抵のことではありません。

そこで次項では、収益物件を運用する上で「これだけは知っておきたい」という内容に絞って、解説を加えさせて頂きたいと思います。

 

収益物件購入・運用時に知っておくべき消防法の知識

それでは、不動産投資家さんや物件オーナーが必ず知っておくべき消防法上の知識をご紹介して参りましょう。

消防設備点検

分譲マンションなどに居住していると、定期的に消防設備の点検が行われるものですが、これはアパートや賃貸マンションでも欠かすことの出来ない作業となります。

なお、実務上は行われていないケースが殆どですが、法令上は半年に一回の器機点検と、年に一度の総合点検を行う必要があると定められているのです。

そして、こうして行われた点検の結果を3年に一度(建物や入居するテナントの種類によっては1年に一度)、消防署に届け出る義務(報告義務)が物件オーナーには課せられています。

因みにこの報告義務を怠れば、消防署より査察が入り、行政処分を受けることになりますし、悪質な場合には30万円以下の罰金または拘留という罰を受ける結果となるでしょう。

こうした憂き目に遭わないためにも、アパートを購入・新築した場合には防災会社に相談の上、適切な点検・報告を行うようにするべきです。

 

防火管理者

前項にて、消防点検の結果報告については「建物の種類や入居するテントによってルールに違いがある」ことに触れました。

実は消防法では防火対策上、建物を「特定用途防火対象物」「非特定用途防火対象物」という二つの種類にカテゴリー分けしており、

「特定用途防火対象物」は病院や学校、飲食店などをより厳しい防火基準が必要な建物を指し、共同住宅や事務所などそれ程火災のリスクが高くない用途のものを「非特定用途防火対象物」と位置付けています。

そして、この二種に収容人員や床面積などで更に細かな分類を行い、一定の基準に達する建物については「防火管理者」という国家資格を有する者を選任し、消防署に届け出なければならないというルールがあるのです。

防火管理者については、別記事「防火管理者とは?わかりやすく説明致します!」にて詳しい解説を行っておりますのでそちらをご参照頂ければと思いますが、

特定用途防火対象物の内、病院などは収容人員10人以上、飲食店では床面積300㎡以上、または収容人員30人以上で防火管理者の選任が必要とされます。

また、アパート等の非特定用途防火対象物では、収容人員50人以上、または床面積500㎡以上で、防火管理者の擁立が必要です。

但し、一階が飲食店で二階以降が居住用の賃貸マンションなどでは、一階の店舗のためだけに「特定用途防火対象物」と判断されてしまうこともありますので、こうした物件を購入する際には是非お気を付け頂ければと思います。

なお防火管理者の選任は、物件オーナーにその義務があります(飲食店等の場合には借主にも)し、防火管理者となった者には消防計画の作成・提出等の業務に加え、火災が発生した場合にはその責任を問われることもありますので、決して気軽に引き受けられる立場ではないのです。

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建物の用途による消防設備の問題

防火管理者についてのお話の中で、入居するテナント等によって「特定用途防火対象物」「非特定用途防火対象物」という消防法上の建物の区別が出て来るという解説をさせて頂きました。

そしてこの建物分類の違いは、防火管理者が必要か否かという問題のみに収まらず、建物に備えるべき消防設備の内容にも大きな影響を及ぼすのです。

なお、「特定用途防火対象物」「非特定用途防火対象物」という大きな括り以外にも、業種ごとの更に細かな分類(消防法施行令別表第一)が存在している上、

建物の構造や面積によっても設備の内容は大きく変わって来ますから、これを全て理解するのは非常にヘヴィな作業となるでしょう。

また、ここでその全てをご説明すると記事内容も膨大なものとなってしまうので、以下では不動産投資物件を購入する際に問題となりがちな、

「居室+飲食店(消防法施行令別表第一16項イ、特定複合用途防火対象物)」のケースのみを例に挙げて解説を行うことにします。

 

居室+飲食店の特定複合用途防火対象物

まず前提としてお話しておきたいのは、居住用物件の一部に飲食店が入居しているからと言って、その全てが特定複合用途防火対象物と扱われる訳ではないという点です。

特定複合用途防火対象物となるのは、飲食店の面積が建物全体の床面積の10%を超えるか、店舗の面積が300㎡以上の場合のみとなります。

そして特定複合用途防火対象物と判断された場合には、居住用賃貸物件では15m間隔で階段等に取り付けが義務付けられていた感知器の数を、2倍に増やす必要が出て来るのです。

また、建物全体への自動火災報知設備の取り付けに加え、避難器具設置場所の表示に、避難器具の変更など、様々な設備変更を求められることになるでしょう。

 

投資物件を運用しており、大型の店舗などに空室が出ると、ついつい業種を問わずに募集を掛けたくなるものですが、迂闊に飲食店などを誘致すると、建物全体の消防設備を見直さなければならなくなってしまう訳です。

またクリニックや介護施設に関しては、床面積に係りなく、収容人員が10名を超えただけで特定複合用途防火対象物と判断されますから、この点は特に注意が必要でしょう。

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不動産投資と消防法まとめ

さてここまで、不動産投資を行う上で是非とも覚えておいて頂きたい消防法に関する知識をお届けして参りました。

「少しでも利回りの良い物件をゲットしたい!」「物件の収益性を向上させたい!」なんて考えていると、ついつい消防法にまで気が回らない方も多いようですが、

法令を違反をした場合にはそれなりのペナルティーを負わされることになりますし、万一違反状態で火災による犠牲者が出れば、物件オーナーもその責任を逃れることが出来ませんので、充分にご注意頂ければと思います。

また、残念ながら不動産業者の中にも「消防法には全く疎い」という者も少なくありませんから、『管理会社が指摘してくれない』『物件購入時に説明が無かった・・・』なんてケースも多く、この点も大いに問題であると言えるでしょう。

消防法のルールを全て守るのは、なかなかに厳しいものがありますが、自分の建物と大切な入居者を守るための法律ですから、物件オーナーはこれをしっかりと遵守する必要があるのです。

ではこれにて、「消防法!不動産投資家が知っておくべき知識をお届け!」の知恵袋を閉じさせて頂きたいと思います。