賃貸の民法改正

 

現在、不動産業界で話題となっているのが、民法の改正に関する問題です。

今回の改正の目玉は「契約に関するルールの変更」という重大な内容となりますし、平成27年3月には法案の提出も完了しているため、これが可決されれば3年以内に施行されることになります。

この様にお話しても「自分にはあまり関係なさそう・・・」と思われる方が大半であるかと思いますが、不動産投資やアパート経営を行っている方には、少々問題となる点もあるようです。

そこで本日は、不動産賃貸の民法改正による影響をテーマにお話をせて頂きたいと思います。

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民法改正の概要

「民法改正」というテーマは、時折テレビなどで耳にすることがあるかと思いますが、「どうして今、改正する必要があるのだろう」と疑問に感じる方も多いことでしょう。

実は現在使われている民法は、120年前の明治時代から殆ど変更のないまま使われ続けている、云わば骨董品のような法律となります。

「あれ?前に改正してなかったか?」と思われる方もおられるでしょうが、確かに戦後直ぐに家族のルールに関する条項が変更(家長制の廃止)がなされ、平成16年に条文の一部が口語体に書き換えられはしましたが、

メインの内容には一切手が加えられておらず、時代の流れにより運用面で様々な弊害が出始めているのです。

そこで今回の改正は、冒頭でもお話した通り「契約に関するルール」という大きなテーマに切り込んでいる上、大幅な内容変更を伴いますから、これは是非改正のポイントを把握しておくべきですよね。

なお今回は、アパート・マンションの賃貸経営に係る箇所のみに焦点を当てた解説となりますので、その点にご注意頂いた上でお話を始めましょう。

 

賃貸に及ぼされる影響

では早速、改正ポイントを整理しながら解説を始めたいと思います。

 

事業用不動産の連帯保証人

まずは事業用契約に関してですが、改正民法が施行された後の賃貸借契約では、保証人の扱いに大きなルール変更が加えられます。

そのルール変更とは、物件を借りる人間と、連帯保証人を引き受ける人間の間で、情報公開をしなければならないというものです。

つまり事業用の賃貸借契約において賃借人は、連帯保証人を擁立する際に、自分の借金の状況や会社の経営状態を説明した上で、保証人を引き受けてもらわなければならないということになります。

この様にお話すると「大家さんにはあまり関係がない」ようにも思えますが、これは非常に大きな問題です。

もし今まで通りの方法で保証人を擁立させた場合には、賃借人と保証人間での説明が不十分なことを理由に、連帯保証人として認められない可能性が出てくることになります。

そして実際に滞納が発生し、連帯保証人に督促をしたら「保証人を引き受ける時に賃借人から説明を受けていないから、支払義務はない!」という言い訳がまかり通ることになってしまうのです。

この問題への対策としては、「保証人が賃借人からの説明を受けていることを証明する書式」を、連帯保証人から提出してもらう他はないでしょう。

 

連帯保証人への情報提供

こちらも情報提供絡みの案件となりますが、前の項ほど重要な変更点ではありません。

簡単に説明すれば、居住用だろうと事業用であろうと、「連帯保証人からオーナーへ、賃借人の滞納状況などについて確認を求められた場合には、その情報を開示しなければならない」というルールです。

滞納が発生すれば、まずは連帯保証人に連絡を入れるのが常ですから、こちらはあまり問題にならないかと思います。

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連帯保証人の債務に極度額を設定

そしてこちらの極度額を設定が、今回の改正で物件賃貸に最も影響を及ぼすポイントとなります。

これまでの民法では、賃借人の賃料滞納などに関して、連帯保証人は無限の責任を負うことが定められていましたが、今回の改正によりこれが「限定的」なものとなります。

まず保証額に関しては、上限(極度額)を設けなければならず、これを定めない契約は「無効」となるのが新ルールです。

こんなお話を聞くと、1000万円、2000万円と法外な極度額を設定したくなるでしょうが、あまりに法外な金額を提示すれば、保証人が保証契約を引き受けてくれなくなる可能性もありますので、極度額の設定をいくらにするかについて頭を悩ませることになるでしょう。

また、「連帯保証人が死亡・破産」した場合と、「賃借人が死亡」した場合には、それ以降の賃料は『保証の対象外』となることもにも注意が必要です。(死亡や破産により元本が確定する)

 

建物が破損した場合の賃料減額

お次は建物と賃料等の関係ですが、万が一地震などで建物が破損し、専有部分が一部使用不能となった時は、その面積に比例して賃料を減額しなけらばならないというのが改正後のルールです。

当然と言えば当然なのかもしれませんが、これまで明確な取り決めがありませんでしたので、改めて条文に加えられることになりました。

「大地震が来る」と言われている時代ですから、オーナーも心の準備をしておく必要があるでしょう。

 

賃貸借契約のルールについて

そして最後の変更点が、賃貸借契約でのルールに関する変更となります。

「契約ルールの変更」というと大袈裟に聞こえかもしれませんが、『既に多くの不動産会社が当たり前に契約書に入れている内容を、改めて法律に明文化した』程度のものとなりますので、あまり神経質になる必要はないでしょう。

実際に内容を見てみれば、

 

敷 金

賃貸借契約が終了した際には、原状回復費用などを差し引いた上、大家は賃借人に敷金を返還する。

 

建物本体の修繕

賃借人から雨漏り等の報告を受けても、オーナーがこれを修繕しない時は、賃借人が自ら修理を行い、費用を大家に請求できる。

 

原状回復

賃借人には原状回復義務があるが、故意・過失は対象となるものの、経年変化によるものに回復義務はない。

 

この様に、実務の場では当たり前に適応されていたルールが、改めて条文に加えられることとなったのです。

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民法改正まとめ

以上が、次回の民法改正に伴い、賃貸契約が影響を受けると思われるポイントとなります。

あまり問題のない変更もありますが、、「事業用契約での連帯保証人への情報提供」や「連帯保証人の債務に極度額を設定」などの事項は、非常に重要な変更といえるでしょう。

なお新しいルールが出来た後は、何かと現場はゴタ付くことも多いですが、時の流れと共に「新たな対処法」が生まれて来るものですから、そんな情報が入りましたら、またご報告させて頂くつもりです。

何かと煩わしい法改正ですが、正しい知識を身に付け、トラブルのない賃貸経営を行いたいものです。

ではこれにて、賃貸の民法改正による影響を解説する知恵袋を閉じさせて頂きたいと思います。